外国人の扶養控除制度が改正、扶養が多いのはフィリピン人納税者??
国外親族の扶養控除(27.4.14ニュース)
書類の添付等を義務化
国外に住む親族を税金で「扶養控除」している者について、
「適用要件を満たしているか疑がわしい扶養控除が散見される。」
との会計検査院の指摘から
平成28年1月1日以後に支払われる給与等及び公的年金等から非居住者である親族に係る扶養控除等の書類の添付が義務化されることになった。
会計検査院によれば、
所得税の確定申告書等における扶養控除の申告額等について
①1人当たりの扶養数が、国外扶養者だけ平均をかなり上回っている。
・・・国内扶養者では平均5.9人であるのに対して、国外扶養者では平均10.2人
②通常は別世帯であろう2~3親等離れた親族や成人を扶養控除する者が多数ある。・・・納税者の配偶者の兄弟姉妹や配偶者の叔父、叔母など
③多数の国外居住者を扶養家族として所得税が無税になっている人が多数ある。
・・・ちなみに、扶養控除額300万円以上と多額になっている納税者1,576人
とのこと
更に今日現在において、
例えば、生命保険料控除の適用を受ける際には、生命保険料控除証明書を、確定申告書等に添付することなどが法律で定められている
のに対して、
扶養控除の適用を受ける際には、証明書類を添付することが、法令で義務付けられていない。
そのため
国外扶養親族については、納税者の協力を得て、出生証明書等の控除対象扶養親族の氏名、生年月日、続柄等を確認できる書類及び生計を一にしていることの確認として、生活費の送金の事実を確認できる書類の提出又は提示を求めている。
ということから
あくまで協力レベルなので、
親族関係書類が古かろうが、そもそも生きているのか死んでいるのかも確認できないことあり
送金関係書類についても、「納税者の友人等を通じるなどして現金を手渡した」とする申立書のみが提出されていて扶養控除が適用されている。
参考:「納税者と生計を一にしていること」については、所得税基本通達によれば、
起居を共にしていない場合においても、常に生活費等の送金が行われているときなどには、生計を一にするものとして扶養控除が適用できる。
ということで
非居住者である親族に係る扶養控除等に親族関係書類と送金関係書類の添付又は提示を義務化されることになりました。
これは外国人にかかわらず、例えば日本人が、海外にワーホリ等で移住している息子を扶養控除としている場合なども対象となってくるので注意です。
親族関係書類は
①戸籍の附表の写しその他、国又は地方公共団体が発行した書類で親族であることを証するもの及び親族のパスポートの写し
②外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類で親族であることを証するもの
(書類が外国語で作成されている場合は訳文の添付も必要)
送金関係書類は
①金融機関が行う為替取引により親族に向けた送金が行われたことを明らかにする書類(送金依頼書)
②その他クレジットカードの明細など生活費の融通が確認できる書類
適用は平成28年1月1日以後に支払われる給与等及び公的年金等から
最後に
24年分の所得税の確定申告書等における扶養控除の申告額等が300万円以上の国籍をみると
・外国人542人
・日本人と思料される者942人(配偶者が外国人761人)
・不明の者70人
このうちつけられた控除対象扶養親族の居住国・地域別の内訳は
・フィリピン65.2%
・ブラジル10.4%
・中国6.4%
・その他の国・地域17.9%
次に、生活費の送金証明書類の状況をみると、
・金融機関等を通じた送金証明を提出している納税者593人
・納税者やその配偶者等が帰国した際に現金を手渡した納税者218人
・友人等の第三者を介して、その第三者が帰国した際に控除対象扶養親族に現金手渡しした納税者241人
・控除対象扶養親族が納税者の銀行口座等から現金を引き出したとして当該銀行口座等の入出金記録等を提出している納税者80人
という状況とのこと
実務的には、平成27年中から書類集めを周知させ、同じく平成27年中に提出を促していくことになりそうです。(外国の役所で書類の交付を受けるのは母国へ一時帰国したタイミングになるとすると、提出を求めてすぐに提出できるものでもないからです。)
これを、周りの外国人経営者に説明すると、「厳しくなった」、「厳しくなった」といいますが、厳しくなったのではなく、今までのザル状態が解消され普通に戻ったということです。
記事が役に立った場合は、「いいね」をポチッとお願いします。(励みになります)
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓